契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

 自分の分も出した櫻庭さんが、さらに袋から小さな紙製の容器を出す。
 三つのそれらには、温野菜サラダとガーリックシュリンプ、彩り豊かなキッシュが入っていた。


「取り皿がいるな」


 ひとりごちるように呟いた彼は、キッチンに戻って食器棚から取り皿とカトラリーを取ってきた。


「すみません」


 いつもと立場が逆転していることに、私は申し訳なさを感じてしまう。


「謝るのは俺の方だ」


 そして、それは櫻庭さんも同じだったようだ。


「でも、今から話をすると落ち着いて食べられないだろうから、少し食べてからにしよう。謝罪もその時にきちんとさせてほしい」


 そんな風に予告されてしまうと、どう返せばいいのかわからない。
 曖昧に微笑むことしかできない私は、勧められるがまま料理に手をつけた。
 ラザニアを始め、彼が買ってきてくれたものはどれもおいしかった。
 テイクアウトだというのに作りたてのような味で、ソースや油で料理がべたついている……というようなこともない。


 ふと、櫻庭さんの視線を感じてハッとする。


「えっと……すごくおいしいです。どこのお店のものですか?」
「うちから徒歩五分くらいの創作料理のレストランだ。どのメニューにも味噌が使われていて、イタリアンとフレンチがメインになってる」


 その説明を聞いて、なんとなく感じていた和の雰囲気の理由がわかった。
 特に、温野菜サラダのドレッシングは、シーザーサラダのような味なのにまろやかで和風感があったのだ。