「お茶でいいか? まあ、辻山さんが作ってくれているものだが」
「はい。ありがとうございます」
ひとまず、私はなにもさせてもらえないことだけは理解できる。
戸惑いつつも小さく頷くと、彼は「座ってて」と告げてグラスをふたつ出した。
仕方なく遠慮がちにダイニングチェアに腰を下ろすと、私が作り置きしておいた麦茶の入ったポットとグラス、さきほどの袋がテーブルに並べられていった。
「リクエストを訊き忘れたから、もし苦手だったら遠慮せずに言ってくれ。他のものを用意する」
淡々と前置きした櫻庭さんが、テーブルに紙製の容器を置いて蓋を開けてくれる。
中には、ミートソースとチーズがたっぷりかかったものが入っていた。
「グラタンですか?」
「いや、ラザニアだ。この店の名物なんだが、苦手じゃないか?」
「はい。好きです」
「そうか。俺も好きなんだ」
彼の表情はほとんど変わっていないのに、瞳にわずかな安堵が覗いたことに気づく。
私が苦手じゃなかったからか、それとも同じものを『好き』と言い合ったことで少しでも親近感が湧いたのか……。すぐに後者じゃないと思ったけれど、それでもどこか硬かった空気がこの瞬間に和らいだ。
「はい。ありがとうございます」
ひとまず、私はなにもさせてもらえないことだけは理解できる。
戸惑いつつも小さく頷くと、彼は「座ってて」と告げてグラスをふたつ出した。
仕方なく遠慮がちにダイニングチェアに腰を下ろすと、私が作り置きしておいた麦茶の入ったポットとグラス、さきほどの袋がテーブルに並べられていった。
「リクエストを訊き忘れたから、もし苦手だったら遠慮せずに言ってくれ。他のものを用意する」
淡々と前置きした櫻庭さんが、テーブルに紙製の容器を置いて蓋を開けてくれる。
中には、ミートソースとチーズがたっぷりかかったものが入っていた。
「グラタンですか?」
「いや、ラザニアだ。この店の名物なんだが、苦手じゃないか?」
「はい。好きです」
「そうか。俺も好きなんだ」
彼の表情はほとんど変わっていないのに、瞳にわずかな安堵が覗いたことに気づく。
私が苦手じゃなかったからか、それとも同じものを『好き』と言い合ったことで少しでも親近感が湧いたのか……。すぐに後者じゃないと思ったけれど、それでもどこか硬かった空気がこの瞬間に和らいだ。



