「すみません」
「はい」
受付で声をかけると、スタッフのうちのひとりがにこやかに対応してくれた。
「あの……こちらに櫻庭さんという弁護士さんがいらっしゃると思うのですが……」
「アポイントはお取りですか?」
「えっ? あっ、いえ……。急用だったもので……」
「大変恐れ入りますが、アポイントがない場合にはお通しできません」
しどろもどろに話した私に、きっぱりとした拒絶が返ってきた。
よく考えれば、当然のことだろう。
いきなり来て、すんなり弁護士に会えるわけがない。
「そうですよね……」
「アポイントをお取りになってから、改めてお越しいただけますでしょうか」
封筒を預けて帰ることも考えたけれど、正しい判断なのかがわからない。
だったら、櫻庭さんの家にこれを持って帰って、彼にきちんと事情を説明する方がいいはずだ。
「わかりました。ありがとうございました」
私が頭を下げると、受付スタッフも笑顔で深々とお辞儀をした。
エレベーターホールに戻り、エレベーターを待つ。
三基あるうちの一基のドアが開くと、ふたりの男性が降りてきた。
そのうちのひとりが櫻庭さんで、私は思わず目を見開いてしまった。
「まあそう言わずに、一度会ってみないか」
「申し訳ございませんが、そのようなお話は……」
彼は微笑しながらも、隣にいる六十代くらいの男性を見る目にわずかな嫌悪感を滲ませている。
その視線が不意に私に向けられた時、鋭さのある双眸が微かに丸くなった。
一瞬、櫻庭さんが動揺したように見えたけれど、気のせいだったのかもしれない。
真実はわからない中、ふと彼が穏やかな笑みを浮かべた。
「はい」
受付で声をかけると、スタッフのうちのひとりがにこやかに対応してくれた。
「あの……こちらに櫻庭さんという弁護士さんがいらっしゃると思うのですが……」
「アポイントはお取りですか?」
「えっ? あっ、いえ……。急用だったもので……」
「大変恐れ入りますが、アポイントがない場合にはお通しできません」
しどろもどろに話した私に、きっぱりとした拒絶が返ってきた。
よく考えれば、当然のことだろう。
いきなり来て、すんなり弁護士に会えるわけがない。
「そうですよね……」
「アポイントをお取りになってから、改めてお越しいただけますでしょうか」
封筒を預けて帰ることも考えたけれど、正しい判断なのかがわからない。
だったら、櫻庭さんの家にこれを持って帰って、彼にきちんと事情を説明する方がいいはずだ。
「わかりました。ありがとうございました」
私が頭を下げると、受付スタッフも笑顔で深々とお辞儀をした。
エレベーターホールに戻り、エレベーターを待つ。
三基あるうちの一基のドアが開くと、ふたりの男性が降りてきた。
そのうちのひとりが櫻庭さんで、私は思わず目を見開いてしまった。
「まあそう言わずに、一度会ってみないか」
「申し訳ございませんが、そのようなお話は……」
彼は微笑しながらも、隣にいる六十代くらいの男性を見る目にわずかな嫌悪感を滲ませている。
その視線が不意に私に向けられた時、鋭さのある双眸が微かに丸くなった。
一瞬、櫻庭さんが動揺したように見えたけれど、気のせいだったのかもしれない。
真実はわからない中、ふと彼が穏やかな笑みを浮かべた。



