契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

 二時間が経った頃、深雪が化粧室に立った。


(そろそろ解散かな。私は明日は休みだけど、深雪は仕事だって言ってたし)


彼女を待つ間にスマホを確認しようと、バッグから取り出す。
直後、ロック画面に表示されたバナーを見て心臓が嫌な音を立てた。


【どうして返事をくれないんだ?】


 トークアプリの通知は、その一文を表示している。
 慌てて相手のアカウントを非表示にしたけれど、スマホを持つ手が震えた。


「那湖?」


 指先が徐々に冷えていった時、背後から呼ばれて肩が跳ねた。


「どうかした? 顔色が悪いよ?」


 椅子に腰かけて心配そうな顔をした深雪に、『なんでもないよ』と言いたい。
 ところが、開いた唇は上手く言葉を紡げず、頬が引き攣った。


「もしかして、またあの男から連絡が来たの?」


 彼女は私の様子から察したようで、眉間にグッと皺を寄せる。


「うん……。ずっと返事してないから、【どうして返事をくれないんだ?】って……」
「返事なんてしなくていいよ! あの男のせいで那湖は会社を辞めるはめになったのに、まだ関わろうとしてくるなんて……本当に最低っ!」


 怒りを見せる深雪は、悔しそうにこぶしを握った。