契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~


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 夏が終わる気配がない、九月中旬。
 花本パートナーサービスで働き始めて、約一か月が経った。


 仕事は順調で、指名も着実に増えてきている。
 バイト時代は中流家庭や一人暮らしの女性の家を中心に派遣されていたけれど、正社員の今は基本的に高級住宅街を担当することが多い。
 お客様は老若男女様々ではあるものの、こぞってお金持ちというわけだ。


 投資家や社長、ご隠居された老夫婦、夜の仕事をしている男女……と、この一か月で色々な人と出会っている。
 その全員が、私とは住む世界が違う。
 これは、櫻庭さんにも言えることだ。
 そんなことを考えながらイタリアンバルに入ると、私に気づいた深雪が笑顔で軽く手を上げた。


「ごめんね、お待たせ」
「ううん、私も今来たところだよ」


 仕事を終えたばかりの私たちは、「お疲れ様」と言い合う。
 彼女と会うのは、二か月ぶりくらいだ。
 退職して以来、私は転職活動で忙しかったし、再就職してからも然り。


 フラワーデザイナーをしている深雪も、土日関係なく働いている。
 今回の予定を合わせるのも一苦労だった。