ほんの一瞬のことだったから、見間違いだったかもしれない。
けれど、初対面の時からずっと表情を崩さなかった櫻庭さんが、少しだけ心を開き始めてくれたように感じた。
「それなら今まで通りで頼みたい」
私が「はい」と頷くと、彼がリビングに置いていたビジネスバッグを持った。
(あっ、もう行くんだ……)
心の中で呟いた直後、自分が一瞬がっかりしてしまったことに気づく。。
業務の一環とはいえ、分厚い壁がある櫻庭さんと話せ、少しでも思いや要望を知ることができて嬉しかった。
その気持ちが、無意識に名残惜しさを抱かせたのかもしれない。
せめて玄関まで送ろうとリビングを出ると、革靴を履いた彼が振り向いた。
真っ直ぐな目とぶつかって、ドキッとしてしまう。
「言い忘れてたが、君がうちに通ってることは周囲に知られたくない」
その直後、冷たい声色に再び鼓動が跳ね上がった。
数ミリほど近づいたように思えた距離が、それ以上に遠くなって……。さきほどとは違う意味で大きく動いた心臓が、ギュッと締めつけられるみたい。
けれど、初対面の時からずっと表情を崩さなかった櫻庭さんが、少しだけ心を開き始めてくれたように感じた。
「それなら今まで通りで頼みたい」
私が「はい」と頷くと、彼がリビングに置いていたビジネスバッグを持った。
(あっ、もう行くんだ……)
心の中で呟いた直後、自分が一瞬がっかりしてしまったことに気づく。。
業務の一環とはいえ、分厚い壁がある櫻庭さんと話せ、少しでも思いや要望を知ることができて嬉しかった。
その気持ちが、無意識に名残惜しさを抱かせたのかもしれない。
せめて玄関まで送ろうとリビングを出ると、革靴を履いた彼が振り向いた。
真っ直ぐな目とぶつかって、ドキッとしてしまう。
「言い忘れてたが、君がうちに通ってることは周囲に知られたくない」
その直後、冷たい声色に再び鼓動が跳ね上がった。
数ミリほど近づいたように思えた距離が、それ以上に遠くなって……。さきほどとは違う意味で大きく動いた心臓が、ギュッと締めつけられるみたい。



