「失礼します」
控えめにノックをしてからリビングに入ると、書斎から櫻庭さんが顔を覗かせた。
「おはようございます。今日はご在宅だったんですね」
「仕事の都合で出勤時間を少しずらしただけだ」
彼は、黒いスリーピーススーツにブルー系のネクタイを締めている。
髪も整えられていて、もうすぐ家を出る様子だった。
「そうでしたか。では、私は本日も業務に入らせていただきます。なにかございましたらお声がけください」
「今日はテーブルに置いてある郵便物の仕訳を頼めないか」
「私が見ても構わないものでしたら承ります」
「仕事関連のものは一切ないから問題ない。ダイレクトメールと、個人的な郵便と、それ以外のもので仕訳をしてほしい。広告類はすべて処分でいい」
「承知しました。他になにかございますか?」
「いや。逆に訊きたいが、辻山さんはなにかある? 確認しておきたいことがあれば言ってくれ」
こんな質問をされたのは予想外だったけれど、櫻庭さんなりに思いやってくれているのかもしれない。
「じゃあ、ひとつお伺いしたいのですが……食事はいかがですか? もう少し濃いめの味付けがいいとか、食べたい料理などがあれば、教えていただけると助かります」
彼に確認したことと言えば、今の私にはこれしかなかった。
控えめにノックをしてからリビングに入ると、書斎から櫻庭さんが顔を覗かせた。
「おはようございます。今日はご在宅だったんですね」
「仕事の都合で出勤時間を少しずらしただけだ」
彼は、黒いスリーピーススーツにブルー系のネクタイを締めている。
髪も整えられていて、もうすぐ家を出る様子だった。
「そうでしたか。では、私は本日も業務に入らせていただきます。なにかございましたらお声がけください」
「今日はテーブルに置いてある郵便物の仕訳を頼めないか」
「私が見ても構わないものでしたら承ります」
「仕事関連のものは一切ないから問題ない。ダイレクトメールと、個人的な郵便と、それ以外のもので仕訳をしてほしい。広告類はすべて処分でいい」
「承知しました。他になにかございますか?」
「いや。逆に訊きたいが、辻山さんはなにかある? 確認しておきたいことがあれば言ってくれ」
こんな質問をされたのは予想外だったけれど、櫻庭さんなりに思いやってくれているのかもしれない。
「じゃあ、ひとつお伺いしたいのですが……食事はいかがですか? もう少し濃いめの味付けがいいとか、食べたい料理などがあれば、教えていただけると助かります」
彼に確認したことと言えば、今の私にはこれしかなかった。



