契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

 花本パートナーサービスの正社員になって、半月が過ぎた。


 櫻庭さんとは顔を合わせる機会がないまま、今日で六回目の訪問日となる。
 基本的に依頼されているのは、月・水・金曜日。
 仕事の都合などで、土日に依頼があるかもしれないことも聞いている。


 業務内容は毎回ほぼ変わらず、食事へのリクエストはない。
 ただ、要望を言われないということは、大きな不満はないとも受け取れる。


 彼と会う機会がないせいで料理が口に合っているのかもわからないため、色々なメニューを出してみている。
 気に入ったものがあればリクエストしてくれるかも……という算段だ。
 さっちゃんには『口に合わなかったら断る人だと思うわよ』と言われたこともあって、私の目下の目標は櫻庭さんの好みを把握することだった。


 マンションに着いてコンシェルジュに声をかけ、いつも通りに十八階に向かう。
 ラグジュアリーな空間に慣れることはないと思う反面、回数を重ねた分だけ緊張感は和らいできたし、コンシェルジュとも軽く談笑するまでになっていた。
 カードキーで開錠してドアを開けると、艶のある革靴が目に入ってきた。


(あれ? もしかして、家にいらっしゃるのかな?)


 これまでは彼の不在の日に玄関で革靴を見ることはなかったから、今日は家にいるんじゃないかと思う。