契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

 特に、料理は一番ハードルが高い。
 食事というのは、人それぞれ好みがある。
 和洋中といったジャンルに始まり、濃いめの味付けなのか薄味がいいのか。煮物ひとつを取っても、しょうゆが多めなのか甘めなのか……など。
 とにかく、お客様によって求められるものが全然違う。
 各家庭の調理法なんてわからないため、しっかりヒアリングする機会でもなければ手探りで作るしかないのだ。


 そして、櫻庭さんからはこれといった希望は聞かされていない。
『その日の夕食と、副菜は翌日にも摘まめるメニューと量を』と言われているだけだ。
 買い出しすら任されているから、私がすべてを決めるしかない。
 彼からは嫌いなものはほとんどないと聞いているし、品数も指定されていないけれど、丸投げされるよりもリクエストしてもらえる方がずっと気楽だった。


(年配の方だと和食を希望される方が多いし、お子さんがいたら子ども向けのメニューを中心にすればいいんだけど……)


 掃除と洗濯を終えた私は、最初に来た日とあまり変わらない冷蔵庫の中身とパントリーを確認しながら眉間に皺が寄っていく。