櫻庭さんを一目見た時から綺麗な男性だと思った反面、どこか体調が悪そうな顔色だったことが気になっていた。
疲れているのか、寝不足なのか。
少なくとも、ずっと書斎から出てこなかった彼がのんびりしていたとは思えないし、こんなマンションに住めるような弁護士なら多忙なのは想像がつく。
そんな櫻庭さんの様子から、消化にいい雑炊が適していると考えたのだ。
「そうか」
彼は独りごちるように零して雑炊に手をつけ、黙々と食べ進めた。
しばらく経ってもなにも言われないことに戸惑いつつもキッチンを片付ける私を余所に、櫻庭さんが鍋に残っていた雑炊を器によそった。
空になった鍋を下げる時に、器の中身をちらりと盗み見る。
口に合わないほどじゃないのかな……とは感じたけれど、結局彼は完食してもなにも言わなかった。
「お疲れ様。もう帰ってくれて構わない」
「承知しました。櫻庭さんのご要望は必ず花本に申し伝えます。本日は弊社の都合でご無理を聞いていただき、ありがとうございました」
頭を深々と下げると、「ああ」と返ってきた。
「では、失礼します」
私は玄関先まで送ってくれた櫻庭さんにもう一度お辞儀をし、最初で最後の彼からの依頼を無事に終えた。
疲れているのか、寝不足なのか。
少なくとも、ずっと書斎から出てこなかった彼がのんびりしていたとは思えないし、こんなマンションに住めるような弁護士なら多忙なのは想像がつく。
そんな櫻庭さんの様子から、消化にいい雑炊が適していると考えたのだ。
「そうか」
彼は独りごちるように零して雑炊に手をつけ、黙々と食べ進めた。
しばらく経ってもなにも言われないことに戸惑いつつもキッチンを片付ける私を余所に、櫻庭さんが鍋に残っていた雑炊を器によそった。
空になった鍋を下げる時に、器の中身をちらりと盗み見る。
口に合わないほどじゃないのかな……とは感じたけれど、結局彼は完食してもなにも言わなかった。
「お疲れ様。もう帰ってくれて構わない」
「承知しました。櫻庭さんのご要望は必ず花本に申し伝えます。本日は弊社の都合でご無理を聞いていただき、ありがとうございました」
頭を深々と下げると、「ああ」と返ってきた。
「では、失礼します」
私は玄関先まで送ってくれた櫻庭さんにもう一度お辞儀をし、最初で最後の彼からの依頼を無事に終えた。



