契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

「まずは、話を……。被害額に関しても今、調査中でして……」
「では、先に契約のお話をさせていただきます。有田さんは本日を持って契約を打ち切ることを望まれていますので、契約解除の手続きを踏ませていただきたい」
「し、しかし……」
「ずさんな仕事でアリタ工業に多額の被害を負わせたんです。充分、契約不履行に当たるでしょう」
「ですが、このまま契約を打ち切られてはうちが——」
「それは貴社の事情であり、こちらには関係ありません」


 おろおろする社長と専務に、どこか頼りなさげな弁護士。
 中郷は冷や汗をかき、ぶるぶる震えていた。


「そちらの中郷さんは、社内でのセクハラやパワハラ疑惑が上がっているでしょう。本日、別途私から内容証明を送らせていただいていますが、もう随分と噂になっているようですね。偶然にもこちらの案件も私が担当しているんです」


 どうやら、ここにいる全員が中郷への内容証明の件を把握しているらしい。
 このために、俺は本日の朝一付けでDD機器に中郷宛の内容証明が届くようにし、わざわざ午後に足を運んだのだ。


 できるだけ騒ぎが大きくなるように、そして彼が社会的な制裁を受けるように、あえてこういう方法を取った。
 那湖が傷ついたことや職を失ったことに比べれば生温いが、これで中郷へのダメージを少しでも大きくできる。


 その上、彼には横領の疑惑もある。
 これは紘奈さんから聞いたことだが、調べる限りでは間違いないはずだ。
 もっとも、この件は俺の仕事ではないため、今話すつもりはないけれど。
 いずれにしても、クビは免れないだろう。