「なにを訴える気でいるんだ? 俺は君に訴えられるようなことはしていない」
「課長はそう思われてるかもしれませんが、それなりの証拠はあります」
「証拠?」
「いずれにしても、ここでお話しする気はありません」
中郷課長が私を睨み、そのまましばらく黙っていたけれど……。
「証拠、なぁ……。俺、別に変なことしてないだろ? それとも、そう言って脅そうっていう魂胆か? まあ、どちらにしてもそっちがその気なら構わない。俺も優秀な弁護士に頼むだけだ。親戚に腕のいい奴がいるからな」
開き直ったように言い、腕を組んで仰け反った。
はったりかもしれないし、そうじゃなくても侑李さんがいる。
自分に言い聞かせるように思いながらも、一抹の不安が芽生えた。
「それはおもしろい。ぜひ、私と法廷で争っていただきたいですね」
その直後、力強い声が頭上から降ってきた。
「侑李さん……!」
「那湖、待たせてごめん」
「いいえ、大丈夫です」
自然と微笑んでいた私には、もう不安も緊張もない。
私の隣に座った侑李さんは、呆気に取られている中郷課長に冷たい視線を向けた。
「申し遅れました。わたくし、那湖の夫で、弁護士の櫻庭と申します。そして、那湖の代理人でもあります」
名刺を差し出した侑李さんに、中郷課長は呆然としている。
侑李さんがそれを課長の前に置き、落ち着き払ったまま続けた。
「課長はそう思われてるかもしれませんが、それなりの証拠はあります」
「証拠?」
「いずれにしても、ここでお話しする気はありません」
中郷課長が私を睨み、そのまましばらく黙っていたけれど……。
「証拠、なぁ……。俺、別に変なことしてないだろ? それとも、そう言って脅そうっていう魂胆か? まあ、どちらにしてもそっちがその気なら構わない。俺も優秀な弁護士に頼むだけだ。親戚に腕のいい奴がいるからな」
開き直ったように言い、腕を組んで仰け反った。
はったりかもしれないし、そうじゃなくても侑李さんがいる。
自分に言い聞かせるように思いながらも、一抹の不安が芽生えた。
「それはおもしろい。ぜひ、私と法廷で争っていただきたいですね」
その直後、力強い声が頭上から降ってきた。
「侑李さん……!」
「那湖、待たせてごめん」
「いいえ、大丈夫です」
自然と微笑んでいた私には、もう不安も緊張もない。
私の隣に座った侑李さんは、呆気に取られている中郷課長に冷たい視線を向けた。
「申し遅れました。わたくし、那湖の夫で、弁護士の櫻庭と申します。そして、那湖の代理人でもあります」
名刺を差し出した侑李さんに、中郷課長は呆然としている。
侑李さんがそれを課長の前に置き、落ち着き払ったまま続けた。



