契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

 警察官が来てから三時間以上が経ち、ようやく私は当初の目的地だった侑李さんの家に来られた。
 あのあと、左腕に傷を負っていた彼は、まずは病院で治療を受けた。
 そして、そのままふたりで警察署に行き、事情聴取を受けたのだ。


 私は一時間ほどで解放されたけれど、侑李さんは随分と時間がかかっていて、二時間近く話していたと思う。
 あの女性——北原(きたはら)北原さんの話が二転三転していて辻褄が合わなかったのも、彼の事情聴取が長引いた大きな理由だろう。
 当然、私たちは被害届を出した。
 ただ、事情聴取の様子から彼女は心神喪失の可能性があるらしく、警察官からは『裁判をしても無罪になるかもしれない』と言われている。


 侑李さんも仕事柄それは察していたようで、北原さんを罪に問えないことも覚悟しているみたい。
 そういった経緯と彼が怪我をしていたこともあって、今夜は帰るつもりだった。
 ところが、そんな私を侑李さんが引き止めた。
 そうして彼の家に連れてこられ、今に至る——というわけだ。


「怪我……痛みますよね? 私を庇ったせいで……ごめんなさい……」


 侑李さんのコートとスーツは、切りつけられた部分が破れて血が滲み、痛々しい。


「那湖はなにも悪くない。むしろ、謝るのは巻き込んでしまった俺の方だ」
「侑李さんだって、被害者じゃないですか! なにも悪いことはしてないです!」


 眉を下げた彼に大声を出してしまうと、「ありがとう」と小さく返された。