契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

「きゃあっ……!」


 咄嗟に身をかがめ、お腹を庇うように全身を丸くする。


「那湖っ……!」


 その瞬間、全身になにかがのしかかるような重みを感じ、「ギャッ……!」と獣みたいな声が響いた。
 同時にドサッと音がして、なにがなんだかわからない。
 けれど、知った香りに鼻先をくすぐられ、ハッとした。
 反射的に閉じていた瞼を開けると、侑李さんが私を庇うようにして抱きしめてくれていたのだ。


「那湖、大丈夫か?」
「侑李さん……」


 震える声で彼の名前を口にすると、一気に視界が滲んでいく。
 そんな中でも、侑李さんに心配をかけたくなくて、大丈夫だと言うように何度も小さく頷いた。


「なによっ……! どうしてそんな女を庇うのっ!」
「侑李さんっ!」


 彼の背後で倒れていた女性が立ち上がり、私たちを目がけてナイフを振り下ろす。
 ところが、侑李さんが足を引っかけるようにして彼女の体を再び倒し、そのまま後ろで手を捻り上げた。


「那湖、警察に連絡できるか?」
「は、はい……」


 体ごと震える手でコートのポケットからスマホを出し、番号をタップしようとする。
 けれど、混乱したままの私は、どこにかければいいのかわからなくて指先を彷徨わせてしまった。


「那湖、落ち着いて。一一〇だ」


 彼の優しい声音が、私に冷静さを取り戻させてくれる。
 通報して十分後、警察官が駆けつけてきた——。