契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

 もし、出産までになんらかの事情で働けなくなったら……。
 出産の時に、危険な状態になったら……。
 産後、体調を崩したり育児が上手くできなかったりしたら……。
 経済的に困窮したら……。


 侑李さんを頼らずに出産するなら、こういう事態にもひとりで立ち向かわなければいけないということ。
 もちろん、結婚していても将来的に離婚して、シングルになる可能性はある。
 彼と偽りじゃなく本当の夫婦になれたとしても、離婚することになったら同じことかもしれない。
 ただ、どんな状況になっても、私はお腹の子を守らなければいけないのだ。


 ひとつの命の重さを痛感していると、料理が運ばれてきた。
 反射的に身構えてしまうのは、食べ物の匂いで何度も気持ち悪くなっているから。
 幸いにも、今はそういうことがなくて密かにホッとした。
 和風チキン煮込みよりも匂いが少なそうなおばんざいランチにして、正解だった。


「那湖、どうかした?」
「えっ?」
「さっきから浮かない顔してる。っていうか、会った時からだけど」


 深雪は照り焼きチキンをおいしそうに頬張りながら、私の答えを待っている。
 ただ、私はどう切り出すか悩んでしまって、そうしているうちに彼女が痺れを切らしたようで口を開いた。