契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

「すみません……」
「いいから」


 見ないようにしてくれている彼の配慮をありがたく思いつつ、数回口をゆすぐ。
 タオルを差し出されて受け取ると、再び抱き上げられた。
 申し訳なさはあるけれど、今はそれどころじゃない。
 自力で歩く気力がない私は、侑李さんがソファに下ろしてくれるまで身を委ねた。


「水は飲めそうか? スポーツドリンクとかの方がいいなら、なにか買ってくる」
「大丈夫です。お水、ありがとうございます」


 まだ気持ち悪いけれど、水を少しずつ口に含んで飲む。
 冷たい液体が喉を通って胃にたどりつくのを感じ、吐き気の名残が和らいだ。


「那湖」


 真剣な声色で呼ばれ、肩が小さく跳ねる。


「もしかして、妊娠してるのか?」


 彼が私の様子を見逃すはずもなく、まるで確信を得ている口ぶりで尋ねてきた。
 動揺を隠すことができなかった私は、咄嗟に口を開く。


「迷惑はかけません! 大丈夫ですから……!」


 私の中に、相変わらず堕胎という選択肢はない。
 けれど、心の準備ができないまま核心を突かれてしまい、ついそんな風に言ってしまっていた。