契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

 翌日の夜。
 妊娠検査薬を手にし、呆然としてしまった。


 今日は侑李さんと婚姻届を出しに行き、急な仕事でそのまま事務所に行くことになった彼と別れて帰宅した。
 その後、不安と心細さを感じながらもドラッグストアで妊娠検査薬を購入し、日が暮れてからようやく意を決して、今に至る。


 既定の時間よりも早くに浮き上がった検査の結果は、陽性。
 それも、くっきりと線が出ている。
 不安が的中したことで予感が現実となり、同時に怖くなった。


(どうしよう……)


 迷うことなく『産む』と決断できたなら、どれだけ幸せだったか……。
 けれど、私の気持ちだけで決めることはできない。
 お腹の子の父親は侑李さんしかいないと確信できていても、私たちの関係は偽りなのだから……。


 たった二度の関係。
 一度目は初めてだったとはいえ、どちらも同意の上だったし、彼だけに責任を押しつけるつもりはない。
 ただ、勝手に産むわけにはいかないだろう。


 仮に認知を求めなかったとしても、侑李さんと血の繋がった子。
 彼からしてみれば、知らないうちに自分に子どもがいたなんてことになったら困惑するに違いない。
 そこで、はたと気づく。
 私の中に〝堕ろすという選択肢がない〟ということに……。


(でも、どう言えばいいの……? 妊娠しました、産みたいです……って? そんなの、侑李さんからしたら……)


 侑李さんからどんな反応が返ってくるか、どんな言葉が紡がれるか……。
 想像しただけで、不安と恐怖が大きくなる。
 それでも、私のお腹の中に小さな命が宿っているのなら逃げるわけにはいかない。
 たとえひとりきりでも、私だけはこの子と向き合うしかないのだ。


 そっと触れた下腹部に赤ちゃんがいるのなら、守りたいと思う。
 不思議なもので、不安も恐怖も心を覆うようにして私の前に立ちはだかっているのに、自分の中に覚悟が芽生えたのを感じていた。