契約外の初夜で、女嫌い弁護士は独占愛を解き放つ~ママになっても愛し尽くされています~

「急に呼び出して悪かった」


 都内のイタリアンレストランで注文を終えると、侑李さんが開口一番そう言った。


「いえ。今日は家事をしてただけですし、大丈夫です」


 下ろしている髪を耳にかけ、落ち着かない気持ちを隠すように必死に笑う。
 二時間ほど前にかかってきた電話の相手は彼で、突然ディナーに誘われたのた。


 家事で動き回っていた私は、猛ダッシュでシャワーを浴びて服を選び、髪を乾かしてメイクをした。
 できればヘアアレンジもしたかったけれど、そこまでの時間はなくて……。急いでブローしたこともあって、さきほどから髪型が気になって仕方がない。
 跳ねていないか、おかしくないか……と、心の中ではソワソワしていた。


 そんな私を余所に、どんどん料理が運ばれてくる。
 生ハムとチーズの盛り合わせ、鮮魚のマリネ、本日のおすすめパスタ、マルゲリータピザ。
 侑李さんは『シェアすればいい』と言って頼んでくれたのだけれど、少し口をつけると次の料理が並び、あっという間にテーブルがいっぱいになった。


 ただ、どれも私の好物ばかり。
 こうして食事を共にするのも、もう何度目だろうか。
 彼はそのたびに私の好みを覚えていってくれ、一緒に食事をする時には私が好きそうなものを勧めてくれる。
 それがあまりにもスマートで、私はついつい頷いてしまうのだ。