困りながらも誰にも相談できずにいた時、唐突に課長と私の不倫疑惑が持ち上がった。
もちろん、そんな事実はない。
困惑している数日後に人事部から呼び出され、そこで聞かされたのは『辻山さんが中郷課長に言い寄って、挙げ句ストーカー行為までしてるそうだね』という言葉。
まったく身に覚えがなかったし、私は脊髄反射レベルで否定した。
二の句では、むしろ逆だと言おうとも思った。
けれど、わけあって言えなかった。
結局、会社に居づらくなった私は、そのまま退職した——というわけだ。
『まったくもう! 那湖は昔から変なところで気が弱いんだから! もっと早くに相談してくれてたら、私が会社に乗り込んでやったのに!』
さっちゃんが怒っているのが伝わってきて、不謹慎だけれどそれが私のためだというのが嬉しかった。
「心配かけてごめんね。ありがとう」
『とにかく、もう自分を犠牲にするんじゃない! 次にやったら許さないからね!』
「うん、わかってる。今は後悔してるし、これからはちゃんと変わらなきゃいけないと思ってるよ。だから、試用期間で厳しく判定してほしい」
『わかった。那湖がそう言うなら、しっかり厳しくするからね』
「うん。よろしくお願いします」
いつもの優しい声に戻ったさっちゃんは、『明日会社に来るように』と言い、試用期間は一週間であることも付け足した。
私は了承し、お礼を伝えてから電話を切った。
もちろん、そんな事実はない。
困惑している数日後に人事部から呼び出され、そこで聞かされたのは『辻山さんが中郷課長に言い寄って、挙げ句ストーカー行為までしてるそうだね』という言葉。
まったく身に覚えがなかったし、私は脊髄反射レベルで否定した。
二の句では、むしろ逆だと言おうとも思った。
けれど、わけあって言えなかった。
結局、会社に居づらくなった私は、そのまま退職した——というわけだ。
『まったくもう! 那湖は昔から変なところで気が弱いんだから! もっと早くに相談してくれてたら、私が会社に乗り込んでやったのに!』
さっちゃんが怒っているのが伝わってきて、不謹慎だけれどそれが私のためだというのが嬉しかった。
「心配かけてごめんね。ありがとう」
『とにかく、もう自分を犠牲にするんじゃない! 次にやったら許さないからね!』
「うん、わかってる。今は後悔してるし、これからはちゃんと変わらなきゃいけないと思ってるよ。だから、試用期間で厳しく判定してほしい」
『わかった。那湖がそう言うなら、しっかり厳しくするからね』
「うん。よろしくお願いします」
いつもの優しい声に戻ったさっちゃんは、『明日会社に来るように』と言い、試用期間は一週間であることも付け足した。
私は了承し、お礼を伝えてから電話を切った。



