「まったく……。櫻庭にとって、那湖さんは結婚を決めるほど大事な人ということなんだろう。だったら、下手な隠し事はしない方がいい。結婚するならなおさらだ」
お茶目にウインクした所長に、「那湖さんだって櫻庭のことを知りたいよね?」と尋ねられて曖昧に微笑んでしまう。
よく考えると、侑李さんの女性嫌いは当然なんじゃないだろうか。
彼は、盗聴器を仕掛けられる寸前だったレベルのストーカー被害に遭っている。
そうでなくても整った外見を見て近づいてくる女性はたくさんいるだろうし、所長が言った『あの事件の前から』という言葉通りなら、それ以前から女性が嫌いだったというのも頷けなくはない。
ただ、私は侑李さんのことを知りたいと思う反面、彼が言いたくないことを無理に聞きたいとは思っていない。
もっとも、本当の婚約者じゃないから、訊けるわけがないのだけれど。
「ストーカー被害のことは少しだけ聞いてますが、侑李さんが話したくないことでしたら私は大丈夫です。それに、侑李さんには大切にしてもらってますので」
偽の婚約者であっても、『大切にしてもらってる』のは事実だ。
侑李さんはプライベートで会う時は送迎をしたり、私の好みに合わせて食事に連れていったりと、まるで恋人のように振る舞ってくれている。
今日の私が身に纏っているものだって、彼がプレゼントしてくれたもの。
必要経費とはいえ、それにしても随分と高価なものをもらってしまった。
家政婦として会った時にも、私の仕事ぶりを褒めたりねぎらってくれている。
偽物には充分すぎるくらいの対応だ。
お茶目にウインクした所長に、「那湖さんだって櫻庭のことを知りたいよね?」と尋ねられて曖昧に微笑んでしまう。
よく考えると、侑李さんの女性嫌いは当然なんじゃないだろうか。
彼は、盗聴器を仕掛けられる寸前だったレベルのストーカー被害に遭っている。
そうでなくても整った外見を見て近づいてくる女性はたくさんいるだろうし、所長が言った『あの事件の前から』という言葉通りなら、それ以前から女性が嫌いだったというのも頷けなくはない。
ただ、私は侑李さんのことを知りたいと思う反面、彼が言いたくないことを無理に聞きたいとは思っていない。
もっとも、本当の婚約者じゃないから、訊けるわけがないのだけれど。
「ストーカー被害のことは少しだけ聞いてますが、侑李さんが話したくないことでしたら私は大丈夫です。それに、侑李さんには大切にしてもらってますので」
偽の婚約者であっても、『大切にしてもらってる』のは事実だ。
侑李さんはプライベートで会う時は送迎をしたり、私の好みに合わせて食事に連れていったりと、まるで恋人のように振る舞ってくれている。
今日の私が身に纏っているものだって、彼がプレゼントしてくれたもの。
必要経費とはいえ、それにしても随分と高価なものをもらってしまった。
家政婦として会った時にも、私の仕事ぶりを褒めたりねぎらってくれている。
偽物には充分すぎるくらいの対応だ。



