神様はもういない

「もしかして湊は嘘をついていたの?」
「その可能性もある。だから、この家じゃない別の場所を探すしかないと思う」
「そんな。別の場所って、外ってこと? 見つかるわけないっ」
 広い屋外で湊がどこにいるかなんて、見つけられっこない。
 だけど雅也は、「大丈夫」と妙に力強い声で私の背中をトンと軽く叩いた。
「あゆりの最愛だったひとでしょ? 見つけられるよ。想いあっている二人が、出会えないはずがない」
「雅也……」
 彼の眉が切なげに下がり、目元はくしゃりと淡く歪んだ。
 雅也は、どんな気持ちでその言葉を口にしたんだろうか。
 悔しさ。悲しさ。寂しさ。
 彼の中で渦巻いている気持ちに、名前をつけることなんてできない。雅也の心を救うためにも、私は今、湊を見つけて彼と向き合う必要があるんだ。
「分かったよ、雅也。私、探してくる。そして、ちゃんと話すよ」
「うん、そうして。後悔だけはもうしないで」
 優しすぎる彼の言葉を真正面から受け止めて、私は雅也を置いて、自宅から飛び出した。