「うっ……」
気がつけば口から嗚咽のような情けない声が漏れていた。
やっぱり私には、忘れるなんて無理だ。
湊のことを忘れられない自分がいる。だけど同時に、雅也を想う気持ちがどんどん大きく膨らんでいく。水風船みたいに腫れ上がったそれが、湊の時みたいにいつか弾けて破れてしまわないかと思うと、怖くてたまらないの。
「あゆり、何かあった?」
今度は真剣なまなざしで私を覗き込む雅也。先ほどお皿を落としてしまった時とは違う、もっと確信的な疑いが見えた。
揺らめく彼の瞳を見つめながら、うんともすんとも言えずに押し黙る。そんな私の反応を見て察したのか、「ちょっとあっちにいこう」と私をリビングまで連れ出した。エプロンに飛び散ったシチューもそのままに、二人でソファに並んで腰掛けた。
「怒らないから正直に話してほしい。最近のあゆり、なんかすごく思い詰めてるようだったから気になって。だから今日、あえてお家デートを提案したんだ。外じゃ話しにくいかなって思って。最初はコンペで緊張してるのかって思ってたけど、コンペが終わってからも変わらないよな。むしろ、どんどん辛そうになってる。ねえ、本当にどうしたの? 話せる? 何を聞いても、俺は絶対にあゆりのこと嫌いなったりしないよ」
一つ一つの言葉をゆっくりと丁寧に紡ぎ出す雅也に、その優しさの溢れる想いに、背中をトンと押されたような気がした。
気がつけば口から嗚咽のような情けない声が漏れていた。
やっぱり私には、忘れるなんて無理だ。
湊のことを忘れられない自分がいる。だけど同時に、雅也を想う気持ちがどんどん大きく膨らんでいく。水風船みたいに腫れ上がったそれが、湊の時みたいにいつか弾けて破れてしまわないかと思うと、怖くてたまらないの。
「あゆり、何かあった?」
今度は真剣なまなざしで私を覗き込む雅也。先ほどお皿を落としてしまった時とは違う、もっと確信的な疑いが見えた。
揺らめく彼の瞳を見つめながら、うんともすんとも言えずに押し黙る。そんな私の反応を見て察したのか、「ちょっとあっちにいこう」と私をリビングまで連れ出した。エプロンに飛び散ったシチューもそのままに、二人でソファに並んで腰掛けた。
「怒らないから正直に話してほしい。最近のあゆり、なんかすごく思い詰めてるようだったから気になって。だから今日、あえてお家デートを提案したんだ。外じゃ話しにくいかなって思って。最初はコンペで緊張してるのかって思ってたけど、コンペが終わってからも変わらないよな。むしろ、どんどん辛そうになってる。ねえ、本当にどうしたの? 話せる? 何を聞いても、俺は絶対にあゆりのこと嫌いなったりしないよ」
一つ一つの言葉をゆっくりと丁寧に紡ぎ出す雅也に、その優しさの溢れる想いに、背中をトンと押されたような気がした。



