私は運転手の人がにこやかにこちらを見てくる
視線に恥ずかしさを隠しきれず
顔を熱くさせたままうつ向けば
「…啓さん、ヒカリを口説くの辞めて下さい。
俺の大切な彼女なんで」
頭上からハルカ君の不機嫌そうな声が聞こえたと共に、肩を引き寄せられ軽く抱き締められる形になった。
「は、ハルカ君、」
咄嗟に名前を呼び思わず離れようとしたが
抱き締められる力は強く…
「別に口説いてなんかないよ」
「…啓さんはそのつもりなくても、
その啓さんの大人の余裕に惹かれてる女性の組員もかなりいますからね」
「へー…そうなんだ。でも俺は妻一筋だけど。
星さんも悠君一筋だと思うよ」
「…」
抱き締められている間、ハルカ君と運転手の啓さんとの間で繰り広げられた会話。
「…でも、ヒカリを失うのは怖いから。
俺は啓さんみたいに大人じゃないから
余裕なんかないよ」
ハルカ君はどこか不安そうに呟くと、
抱き締めている私の頭を優しく撫でた。



