結婚の決め手は焦げた玉子焼き!?黒豹御曹司は愛する秘書を逃がさない

「ふぇっ?」
「さっき、そう言っただろ?」
 私が? いつ? 言った? 言ったかもしれない!
 私の馬鹿!
 後ろにいる暁良の手が沙紀の目の前に伸びたと思ったら、顎を上げられ強制的に顔が上に。
 そのまま不思議な角度でキスをされた沙紀の思考は停止した。
 食べられてしまうかのようなキスが続き、頭がぼーっとする。
 
「結婚してくれ」
「えっと、一年間の契約……」
「そうじゃない。本当に結婚してくれ。一生俺のモノだと誓ってくれ」
 貪るようなキスで息ができない。
 一生? 本当の結婚? どういうこと?
 
「好きだ。五年前からずっと」
「……五年……前?」
 五年前って? 会ったことなんてなかったはず……?
 ようやくキスから解放された沙紀が呟くと、暁良は色っぽい息を吐いた。
 
「五年前、会社の創立30周年イベントで宿泊とゴルフとBBQが」
「ありました……けど?」
 部署もごちゃ混ぜでゴルフをやったようだが、ほとんどの女性たちはゴルフには行かず自由時間だった。
 岩盤浴に入ったり、エステに行ったり。
 
「あのとき、俺はフロント近くのスペースで電話をしながら資料がうまく連動しないと困っていて」
「もしかして、資料が全部英語で、グラフがズレて表示されて困っていた男性……?」
 男性はいたけれど、眼鏡をかけたヒョロヒョロで顔もよく覚えていない。
 背は高かったような気がするけれど。
 
「沙紀がグラフも数字も全部直してくれて、そのおかげで契約が取れて。お礼を言いにBBQ会場へ行ったら、玉子焼きを差し出されて」
「玉子焼き?」
 確かにBBQ会場でアルミホイルを使って玉子焼きを焼いた!
 お肉に飽きてしまって、玉子と砂糖をホテルにお願いして準備してもらって焼いたけれど、一人で食べるには量が多くてその時たまたま近くにいた誰かに無理やり渡した気がする。
 まさか暁良に手渡してたの?
 
「焦げた甘い玉子焼きだった」