うっかり消してしまった?
でも消そうとすると確認メッセージが出るはずなのに?
いつの間に消してしまったのだろう。
「すみませんでした。気をつけます」
赤信号で停車した夏目にタブレットを返却しながら、沙紀は謝罪し、自分のタブレットも鞄の中に仕舞った。
翌日から沙紀は手帳にもスケジュールを書くようにした。
日程変更や時間変更が多く、書き換えるのが大変なので、いつでもどこでも見ることができるオンラインのスケジュールを利用していたが、今回のようなうっかり消してしまうミスを防ぐため、オンラインと手帳と両方に記録することにした。
だが……。
「また消えてる」
毎日ではないが、たびたび予定が消えることがあった。
「どうして……?」
あれ以来、消さないように気を付けていたのに。
「……えっ?」
「どうした、沙紀」
取引先から怒りのメールをもらった沙紀は、目を通しながら顔面蒼白になった。
内容はまったく心当たりがない。
だが、もとのメールの差出人は自分、そして怒りのメールは私のメールへの返信だ。
「……沙紀?」
「私は書いてないです……けど、私のメールから送信……? 私……? どうして?」
暁良もメールの内容を確認する。
他のメールや、沙紀の送信記録を確認した暁良は大きく息を吐いた。
「……今日はもう帰れ」
「ですが!」
このあとまだ暁良は会議があるのに。
「いいから帰れ」
眉間にシワを寄せた暁良の顔を見た沙紀は、膝の上でギュッと拳を握った。
「……予定は、この手帳に……」
沙紀は手帳の今日のページを開き、スマホやタブレットを鞄に入れる。
暁良の顔を見ることができないまま、沙紀は「お先に失礼します」と秘書室を出た。
……泣いたらダメだ。
仕事でミスをして泣くのはズルい。
絶対泣いてはダメだ。
沙紀は普段利用することがなくなったエントランスをくぐる。
中途半端な時間のおかげで、従業員はエントランスにいなかった。
守衛に会釈をした沙紀は涙を堪えながら早歩きで駅に向かう。
「……沙紀?」
こんなタイミングで聞きたくなかった声を無視して沙紀は駅へと急いだ。
「おい、沙紀。どうした?」
茶色のふわふわの髪、清潔感のあるスーツ、外回りの帰りだろうから今ネクタイはしていないがきっと鞄に入っているのだろう。
掴まれた手首をジッと見ている沙紀に気が付いた大輝は「悪い」と慌てて手を離した。
「こんな時間にどうした?」
「……ミスして……」
「帰れって?」
沙紀はグッと唇を噛み締める。
「カフェ、行こうぜ」
大輝は沙紀の手首を再び握ると、強引に沙紀を引っ張る。
でも消そうとすると確認メッセージが出るはずなのに?
いつの間に消してしまったのだろう。
「すみませんでした。気をつけます」
赤信号で停車した夏目にタブレットを返却しながら、沙紀は謝罪し、自分のタブレットも鞄の中に仕舞った。
翌日から沙紀は手帳にもスケジュールを書くようにした。
日程変更や時間変更が多く、書き換えるのが大変なので、いつでもどこでも見ることができるオンラインのスケジュールを利用していたが、今回のようなうっかり消してしまうミスを防ぐため、オンラインと手帳と両方に記録することにした。
だが……。
「また消えてる」
毎日ではないが、たびたび予定が消えることがあった。
「どうして……?」
あれ以来、消さないように気を付けていたのに。
「……えっ?」
「どうした、沙紀」
取引先から怒りのメールをもらった沙紀は、目を通しながら顔面蒼白になった。
内容はまったく心当たりがない。
だが、もとのメールの差出人は自分、そして怒りのメールは私のメールへの返信だ。
「……沙紀?」
「私は書いてないです……けど、私のメールから送信……? 私……? どうして?」
暁良もメールの内容を確認する。
他のメールや、沙紀の送信記録を確認した暁良は大きく息を吐いた。
「……今日はもう帰れ」
「ですが!」
このあとまだ暁良は会議があるのに。
「いいから帰れ」
眉間にシワを寄せた暁良の顔を見た沙紀は、膝の上でギュッと拳を握った。
「……予定は、この手帳に……」
沙紀は手帳の今日のページを開き、スマホやタブレットを鞄に入れる。
暁良の顔を見ることができないまま、沙紀は「お先に失礼します」と秘書室を出た。
……泣いたらダメだ。
仕事でミスをして泣くのはズルい。
絶対泣いてはダメだ。
沙紀は普段利用することがなくなったエントランスをくぐる。
中途半端な時間のおかげで、従業員はエントランスにいなかった。
守衛に会釈をした沙紀は涙を堪えながら早歩きで駅に向かう。
「……沙紀?」
こんなタイミングで聞きたくなかった声を無視して沙紀は駅へと急いだ。
「おい、沙紀。どうした?」
茶色のふわふわの髪、清潔感のあるスーツ、外回りの帰りだろうから今ネクタイはしていないがきっと鞄に入っているのだろう。
掴まれた手首をジッと見ている沙紀に気が付いた大輝は「悪い」と慌てて手を離した。
「こんな時間にどうした?」
「……ミスして……」
「帰れって?」
沙紀はグッと唇を噛み締める。
「カフェ、行こうぜ」
大輝は沙紀の手首を再び握ると、強引に沙紀を引っ張る。



