結婚の決め手は焦げた玉子焼き!?黒豹御曹司は愛する秘書を逃がさない

「暁良さん、私、もっとシンプルな」
「結婚指輪はシンプルだから、婚約指輪は大きいのにする」
「えぇっ」
「パーティで必要になる」
 必要経費だと言われた沙紀は、暁良のオーダーを止めることができないまま、指輪選びは終わってしまった。

「高すぎます!」
「沙紀に似合うものを選んだだけだ」
「でも」
 契約結婚なのに。しかも一年だけの。
 こんなにお金をかける価値が私にあるとは思えない。

「婚約指輪の相場は給料の三ヶ月分だと聞いたぞ? あれでは足りないくらいだ」
 夏目が教えてくれたと言われた沙紀は、目を丸くした。
 
 あの金額で給料の三ヶ月分に満たないってこと!?
 嘘でしょ!
 住む世界が違いすぎる!

 夕食は回っていないお寿司屋さんへ。
 ここも暁良が出資しているそうだ。
 注文などなく、順番に寿司がつけ台に出されていく。

「おいしい」
 しか語彙力がなくてすみません。
 刷毛で塗られた煮切りもおいしい。
 もしかしてシャリの温度も魚ごとに調整されている?
 穴子の甘いタレももちろんおいしいし、白身の魚は塩が振ってあるかもしれない。
 どれも手間がかかっていてすごい。

「ここも両親とくればいい」
「暁良さんがいないと無理そうです」
 庶民だけでこんな高級店は無理!

「では、今度銀座に行くとき、招待しよう」
 あ、お母さんが銀座に行きたいって言ったのを覚えていてくれたんだ。

「はい、玉子」
 つけ台に出されたのは玉子焼き。
 ご飯はなく、玉子焼きだけだ。

「甘くてふわふわ」
 私の玉子焼きよりも手間がかかっていて、はるかにおいしい。
 砂糖だけじゃなくてダシも入っている気がする。
 
「沙紀の玉子焼きの方が好きだ」
「絶対こっちの方がおいしいですよ!」
「俺は沙紀が好きだ」
 違う違う、私の玉子焼きが好き。
 大事な部分をカットすると意味が変わっちゃいます!