「……沙紀?」
駅から歩いてきた大輝は、車から降りてきた沙紀の姿に眼を見開いた。
「嘘だろ」
あの男はこないだ街で見たホストだ。
「なんでうちの会社に……?」
それよりも沙紀があんなに美人だったなんて。
心愛よりもよっぽどいいじゃないか。
なんであんな美人なのを隠していたんだよ、最初からその恰好していろよ。
地味な女だと勘違いしたじゃないか。
『俺たちやり直そう』
大輝はスマホを取り出し、急いで沙紀にメッセージを送る。
美人で料理もできて金もかからない女なんて最高だ。
やっぱり俺には沙紀しかいない。
『今日の夜、飯でもどう?』
なかなか既読にならないメッセージに肩をすくめながら、大輝はエントランスゲートをくぐった。
◇
新しいCEOは宗一郎CEOの孫でアメリカ帰り。
背が高くてイケメンの29歳、独身。
好きな食べ物は玉子焼き。
理想の女性は玉子焼きの味付け好みが一緒の女性。
「……って、本当のことですか?」
CEO室と続き間の秘書室で、社内報に書かれた不思議な情報を読みながら沙紀は笑った。
「誰だ、そこまで書いた奴」
「人事部の服部さんって書いてあります」
「あいつか」
確かに聞かれたから答えたが、そんなことまで書かれるとは思わなかったと暁良は溜息をつく。
「玉子焼きなんですね。普段あんなに美味しいものばっかり食べているのに」
フカヒレとかフォアグラとか書かれるのかと思ったと笑う沙紀を見ながら、暁良は恥ずかしそうに頭の後ろを掻いた。
「沙紀の甘い玉子焼きが好きだ」
「えっ? なんで私の玉子焼きが甘いって知ってるんですか?」
暁良のマンションに二週間お世話になっているが、私があのキッチンで料理をしたことはない。
夕食は外食かデリバリーで、朝食は暁良が作ってくれるからだ。
「焦げた玉子焼きだったけどな」
「えぇっ?」
いつの話?
焦げた玉子焼き?
『大輝:行きたいって言っていたレストラン予約しようか?』
沙紀はスマホに表示されたプッシュ通知に驚き、暁良との会話が中断してしまう。
『大輝:何時なら仕事終わる?』
次々に表示される通知に、沙紀は溜息をついた。
「……営業部はヒマなようだな」
「そうみたいです」
会社の廊下で若くて可愛い子がいいと、三年も付き合った私をあっさりと捨てたくせに、いまさらなんなの?
沙紀は、大輝のメッセージをブロックし、電話番号も着信拒否リストに入れた。
駅から歩いてきた大輝は、車から降りてきた沙紀の姿に眼を見開いた。
「嘘だろ」
あの男はこないだ街で見たホストだ。
「なんでうちの会社に……?」
それよりも沙紀があんなに美人だったなんて。
心愛よりもよっぽどいいじゃないか。
なんであんな美人なのを隠していたんだよ、最初からその恰好していろよ。
地味な女だと勘違いしたじゃないか。
『俺たちやり直そう』
大輝はスマホを取り出し、急いで沙紀にメッセージを送る。
美人で料理もできて金もかからない女なんて最高だ。
やっぱり俺には沙紀しかいない。
『今日の夜、飯でもどう?』
なかなか既読にならないメッセージに肩をすくめながら、大輝はエントランスゲートをくぐった。
◇
新しいCEOは宗一郎CEOの孫でアメリカ帰り。
背が高くてイケメンの29歳、独身。
好きな食べ物は玉子焼き。
理想の女性は玉子焼きの味付け好みが一緒の女性。
「……って、本当のことですか?」
CEO室と続き間の秘書室で、社内報に書かれた不思議な情報を読みながら沙紀は笑った。
「誰だ、そこまで書いた奴」
「人事部の服部さんって書いてあります」
「あいつか」
確かに聞かれたから答えたが、そんなことまで書かれるとは思わなかったと暁良は溜息をつく。
「玉子焼きなんですね。普段あんなに美味しいものばっかり食べているのに」
フカヒレとかフォアグラとか書かれるのかと思ったと笑う沙紀を見ながら、暁良は恥ずかしそうに頭の後ろを掻いた。
「沙紀の甘い玉子焼きが好きだ」
「えっ? なんで私の玉子焼きが甘いって知ってるんですか?」
暁良のマンションに二週間お世話になっているが、私があのキッチンで料理をしたことはない。
夕食は外食かデリバリーで、朝食は暁良が作ってくれるからだ。
「焦げた玉子焼きだったけどな」
「えぇっ?」
いつの話?
焦げた玉子焼き?
『大輝:行きたいって言っていたレストラン予約しようか?』
沙紀はスマホに表示されたプッシュ通知に驚き、暁良との会話が中断してしまう。
『大輝:何時なら仕事終わる?』
次々に表示される通知に、沙紀は溜息をついた。
「……営業部はヒマなようだな」
「そうみたいです」
会社の廊下で若くて可愛い子がいいと、三年も付き合った私をあっさりと捨てたくせに、いまさらなんなの?
沙紀は、大輝のメッセージをブロックし、電話番号も着信拒否リストに入れた。



