「まあまあ。これくらいにしてあげたらどう? 二人が守ってくれたおかげで、みくは無事なんだから」

 お母さんがお父さんをなだめるため、お茶をそっと差し出す。
 
 お父さんはぐびっと一気にのどに流し込んだ。

「はあ、とんだ娘を持ったものだ。そういえば、朝、話があるといっていたな?」

 驚異のお茶パワーで落ち着いたお父さんはちらっと私に目を向ける。

 私は膝をそろえて正座をし直した。

「あのね、今後のことなんだけど。私、婚約者は決めるつもりないよ」

 げほっ

 お父さんが思いっきりむせた。

 お母さんが「あらまあ、大丈夫?」と言って背中をさする。

「そ、それはいったいどういう意味だ」

「そのままだよ。事実が何であれ、私にとってお兄ちゃんはお兄ちゃんで、大聖は大聖。嘘であっても兄妹だから」

 隣でお兄ちゃんもうなずく。

「俺たちもそう思ってます。だから、どうかご理解ください」

 あの件を経て、街に平和が戻った。

 斗真くんが裏で働いてくれたのか、西明かりは突然暴走をやめたらしい。

 東雲もしばらくはただの柔道場になりそうだ。

 次期リーダーとか、いまだに実感がわかないけど、今は少しだけワクワクしている。

 これからどんなことが待っているだろうか。

 この兄妹でなら、どんなグループともうまくやれそうだ。

 律兄ちゃんと大聖は私の自慢の兄。

 これからもそばにいてよね!