仲良し家族は嘘だらけ⁉

 お兄ちゃんは公園に入ってくると、私に向かって仁王立ちで宣言した。

「みくっ、俺は何が何でもみくを守る! お嬢なんて関係ないっ。だって今も昔も自慢の妹なんだからな!」

 その瞬間、お兄ちゃんは一気に間合いを詰めて斗真くんに近寄っていく。

 斗真くんの攻撃を受け止めるたびにバシッと音が響く。

 それでもお兄ちゃんの勢いは収まらなかった。

 大聖と目を合わせてタイミングよく、足を引っかけた。

「「技あり!」」

「うわっ」

 二人がそう叫んだ途端、斗真くんが背中から地面に落ちる。

 もう逃げられないようにって、がっちりと抑えられた。

 うわあっ、お兄ちゃんたちが勝った! 死闘の争いを終わらせたよっ!

 くっと顔をゆがめる斗真くんを見て安心したのか、二人はほっと息をつく。

「兄ちゃん、斗真、どうする?」

「東雲の本部に持っていくしかないだろ。まあ、大人たちがどうするかはわからないが」

 なんだか物騒な会話が聞こえてきた⁉

 うわわわわっ、ちょっと待って!

「ストーップ!」

 突然叫んだ私に、お兄ちゃんや大聖だけでなく斗真くんも目を見開いた。

「二人とも、そこで終わり! 手を放して!」

「みく? どうしたんだ、こいつはさっきまでみくを追い詰めてたやつだぞ?」

 お兄ちゃんはけげんな顔を見せる。

 確かに、そうなんだけどっ。

 でも、斗真くんにだって事情があったはずなんだよ!

 私は歩み寄って二人の手をつかんだ。

「違うよ。斗真くんだって私たちと一緒。ずっと西明かりの立場に苦しんでる。私はそれを見過ごせない」

 斗真くんは心底わからなさそうに眉を寄せた。

「はあ? 僕、敵だよ? 何守ろうとしてんの。バカじゃないの?」

「今は敵でもいいの! 東雲も西明かりも、どっちも仲よくできる道がきっとあるはず! 私はそれを見つけたい。だから、もうやめよう?」

 私はできることなら斗真くんも助けたい。

 だってこんなことがあっても私の友達だもの。

 あとはお兄ちゃんと大聖が分かってくれるかどうか……。