「だいたい、ケンカしてたんでしょ? 大聖たちが婚約者になるより、僕のほうが相性いいよ」

 斗真くんはなおも攻めてくる。

 と、いきなり大聖がおっきなため息をついた。

「はあー、やっぱかったりぃわ。婚約者候補とかリーダーだとか。そんなのやめやめ」

「た、大聖っ?」

 私はびっくりして大聖を凝視する。

 そんな彼は私をちらっと振り向いた。

 いつになく、勇ましい顔で。

「お前、ほんっとドジだよな。しょうがねえから、バカなお前、俺が助けてやる」

 そう言うと斗真くんに向かって突き進んだ。

 技をかけようとするけど、反対に腕をとられてしまう。

「くっ……」

「大聖の動きじゃ遅いんだよ。僕のほうが圧倒的に強い」

 どうしよう。大聖でもかなわないなんて!

 かといって、私が戦える自信はないし!

 だって柔道の試合ならともかく、今は何でもありの真剣勝負だ。

 私ができるわけない!

 その時、タタッと地面を蹴って駆けてくる音が聞こえてきた。

「俺も応戦する!」

 後ろから響いてきた声。

 今度はスマホからじゃない!

「お兄ちゃん!」