突如響き渡るお兄ちゃんの声。

 よかった。ちゃんと電話がつながってたんだ!

 私は少しだけほっと安心する。

 斗真くんは出ばなをくじかれたみたいだったけど、すぐに調子を取り戻して乾いた笑いを浮かべた。

「ははっ、電話がつながっただけで何になる? どうせもうここにきても遅い」

「誰が電話だけだと言った?」

 上から声が降ってきたと思ったら、大聖が空から落ちてきた⁉

 飛びながら攻撃しようとした大聖を斗真くんはすんでのところで回避する。

 大聖は軽やかに私の前に降り立つと、ちっと舌打ちした。

「大丈夫か、みく」

「大聖! なんでここに」

 だって私、ついさっきまで居場所を言えてなかったのに!

「兄ちゃんと二手に分かれて心当たりのあるとこ探してたんだ。そしたら、ビンゴ。お前、俺に感謝しろよ?」

 大聖にじとーっとにらまれて、私はぐっとうなった。

 お、おっしゃる通りでございます!

 大聖は少し距離を置いた斗真くんに向き直る。

「斗真、よくも裏切りやがって」

「裏切ってなんかない。最初から僕たちは仲良くなれない運命なんだよ。生きてきたところが違う」

 斗真くんの言い草にハッと気が付く。

 斗真くんも大聖たちみたいに、生まれた時から西明かりに入ることが決まってた……?

 つんとした顔を見せる彼を見すえる。
 
 いつもの学校でいる時とは全然違う姿。

 だけど、私には少しだけ無理しているように見えた。

 ほんとの彼はどっち……?