そして放課後。

 いつものように(?)お兄ちゃんたちを放って斗真くんとの約束場所にやってきた。

 やっぱりお兄ちゃんたちが言うことは信じられない。

 斗真くんが悪者なんて。

 だって友達だもの。確かな証拠がない以上、そんなこと考えられないよ。

 私が、彼は悪い人じゃないって証明してあげるんだから!

 学校が終わってすぐ来たはずなのに、斗真くんはもうついていた。

 ベンチに座って、足をぶらぶらさせている。

 彼は私を見たとたん、ニコッと笑った。

「来てくれたんだね。嬉しい」

 夕方になっているからか、その顔は幻想的に照らされている。

 彼はぴょんっと勢いよく立ち上がった。

「まさか、一人で来てくれるとは思わなかったよ。お嬢様はとんだお人よしみたいだ」

 え? 今、なんて?

 普段の斗真くんが絶対言わないこと。

 私は思わず後ずさる。

 目の前に立つ斗真くんは不敵に笑っていた。