放課後になってすぐ、律兄ちゃんが教室まで駆けてきた。

 三人で一緒に登下校するのはいつものことだけど、今日は全員顔をしかめているからか、廊下を歩くたびに視線が集まっているのが分かる。

 学校の手前、仕方なく一緒になっちゃったけど、絶対どこかで抜け出してやるんだから!

 私は足早に昇降口まで行くと、荒々しく靴箱を開けた。

 後から二人がついてくる。

「なあ、さっさと俺らの中から一人選んだら終わる話だぞ? なんでそんなに頑ななんだよ」

 近くに誰もいないからって大聖は壁に手をついて、逃げ場がないように距離を詰めてくる。ぐぐっと大聖の顔が近づいた。

 私はその顔にびしっと人差し指を突き付けた。

「だからそれが嫌だって言ってんの!」

 大聖はぎゅっと眉を寄せる。

「大体、大聖のほうこそ嫌じゃないの? いきなり婚約者候補だなんて。そんなこと言われて、反対しようとは思わなかったの?」

 聞かれて大聖は一瞬困ったような顔になった。