半妖の九尾の狐は神巫女を独占中

あれから1週間、練習を繰り返して本番当日になる。



神楽を舞う為の衣装に着替えると、もうすぐ本番なのだと激しく緊張してしまう。



「うん、その衣装もよく似合っているよ。だけど、表情がガチガチだね」



「玖夜様 」



鏡の前で緊張に押しつぶされそうになっていると、白無垢のような服を着て顔を被っている玖夜様が姿を現した。



緊張から顔が強ばっていたのだろう、玖夜様はクスクスと笑いながら私の事を見つめている。



「人前で舞うんですよ?緊張もします」



「ふふっ、そうだね。でも、悠乃なら大丈夫だよ」



そう言って私に近寄って頭を撫でる玖夜様。



その姿と声、その手から伝わってくる温もりがが初恋の人の姿と重なり、ドキッとする。



顔を隠した玖夜様が初恋の人と重なる事が多くて、マジマジと見つめてしまった。



「・・・そろそろ時間だ。行こう、悠乃」



「あっ・・・はい!!」



玖夜様に諭され、会場へと向かう。



神として鎮座した玖夜様を見届けたあと、私も舞台へと上がる。



顔を上げると多くの人が私に視線を向けていて、緊張のあまり心臓がバクバクと早鐘を打つ。



苦しい程の緊張に呑み込まれそうになる。



「悠乃」



そんな時、玖夜様の優しい声が私の鼓膜を揺さぶる。



玖夜様が鎮座している方へ視線を向けると、顔を隠しているのを少しだけ見せて微笑んだ。



その姿を見た時、自然と緊張が和らぐ。



息を整えて、音楽に合わせて神楽を舞い始める。



ひらひらと衣装を揺らし、堂々と神楽を舞う。



その時、舞い踊るように蝶々が周囲に集まってきて幻想的な光景になる。



私が神楽を踊り終え、お辞儀をすると割れんばかりの歓声が上がった。



その事に驚きを隠せないけど、盛況だったようだ。



そのことに安堵しながら、私は舞台の上から降りた。