半妖の九尾の狐は神巫女を独占中

着替えて元いた所に戻ると、玖夜様は甲斐甲斐しく私の傷を消毒し、手当をしてくれる。



「悠乃、痛い?」



「そんなに何度も聞かなくても大丈夫ですよ。玖夜様は気にし過ぎです」



何度も確認してくる玖夜様に笑いながら返事をする。



上書きと称して歯を立てた事を気にしているようだ。



「気にもするよ。大事な子なんだもん」



頬に手を当てて、愛おしそうに見つめる玖夜様。



嫉妬までしたり、私の事が大事だと言ったり・・・その言動はまるで・・・。



「その発言、玖夜様は私の事が好きみたいに聞こえますよ」



思った事を口にする。



それはその場を和ませるための軽口のつもりだった。



だけど、玖夜様の表情がほんわかしていたものから真剣なものへと変わる。



「“好きみたい”じゃなくて、好きなんだよ。悠乃の事が」



「・・・えっ・・・?」



真剣な表情の玖夜様から思いもよらない言葉を告げられる。



一瞬、“人として”という言葉が頭をよぎったけど、玖夜様の瞳に宿る熱がそれは違うと否定していた。



「人として、って思ってる?恋愛感情の方だから。異性として、君の事が好きなんだ」



改めて玖夜様から想いを告げられる。



熱のこもった言葉や瞳に見据えられ、息をするのも忘れてしまいそうだ。



愛おしそうに私を見る玖夜様は私に優しく微笑みかけてくる。



「悠乃も色々考えたいだろうから、返事は急がないよ。迷惑なら、なかった事にしてくれてもいいから。だけど、覚えておいて。半分だけど妖の血が入っている私は、1つの想いを長い間抱え続ける。悠乃を想う気持ちは強くなっても風化したりしない・・・ってね」



「・・・はい」



コクリと頷くと、満足そうに笑う玖夜様。



その笑顔に、トクン・・・と胸が高鳴るのを感じた。