半妖の九尾の狐は神巫女を独占中

「ダメだよ、私から離れては」



私が返事をしようとした時、優しい声が私の耳に届いた。



その瞬間、琥珀ちゃんの後ろに玖夜様がふわりと床に着地をする玖夜様。



「やっぱりいたか!!狐!!」



私から手を離し、玖夜様を睨みつけるように向かい合った琥珀ちゃん。



その手からは渦を巻いている水が浮かんでいた。



「悠乃。少し目を閉じていてくれる?あと、耳も塞いでいて」



「は、はい!」



玖夜様に言われるがまま、私は目と耳を塞いだ。



体感10秒程度そのままでいると、玖夜様がもういいよ、と伝えてくる。



早過ぎないか、とも思ったけど言われるがままに目を開くと、そこには地面に膝をついて肩で息をしている琥珀ちゃんがいた。



その頬には、痛々しい傷が出来ている。



「琥珀ちゃん、ちょっとじっとしてて」



私は琥珀ちゃんに駆け寄り、バッグの中に入れていた救急セットを取りだして手当てをしようとする。



その姿を見て、琥珀ちゃんも玖夜様も目を丸くしていた。



「・・・何するつもりだ?」



「何って、手当てだよ。琥珀ちゃん、傷が出来てるもん」



「そんな事をする必要は無い。俺はお前の探してる奴じゃない。お前の探し人を偽って利用しようとしてただけだ。俺はお前を騙して利用しようとしてたんだぞ。そんな事する必要ない」



琥珀ちゃんは私の手当てを拒み、私の初恋の人ではないと告げる。



その言葉を聞いて少しだけ残念に思ったけど、私にとってはそんな事どうでもよかった。



「どんな相手でも、怪我してる人は放っておけないよ。・・・それに、琥珀ちゃんは私の友達だもん」



「!!・・・ふっ、ははっ・・・友達、ね・・・ふふっ・・・」



笑顔で琥珀ちゃんに本心を伝えると、驚いたように目を丸くした後に、我慢できないと言わんばかりに笑いを堪えていた。



その表情はいつも以上に穏やかな笑みで・・・。



「おい化け狐、聞け」



「なんだ、クソ蛇」



「アンタのついてる座も、悠乃の事もお前が、悠乃を泣かせない限り狙わない 」



「そうか。そんな事は永遠に訪れないな」



2人は言い合いをしながらもそんな事を話していた。



玖夜様が蛇と言っていたから、琥珀ちゃんは蛇の半妖なのだろう。



そんなことを思いながらその場は解散となり、私は玖夜様と一緒に(やしろ)へと戻った。