孤高の総帥は初めての恋に溺れる

それで穂香の気持ちも決まった。

いつも何か大きなことを抱えている碧斗の
追い詰められているような仕事ぶりを見て
いると眉間に寄ったしわを伸ばしてあげたく
なるのだ。

婚約者として碧斗の側で碧斗がリラックス
できるように見守っていけるなら頑張って
みようと思う。

そして今までより、小説を書いて投稿する
趣味に時間をかけることができるだろう
そういう意味でも穂香にとっては悪くない
決断なのかもしれない。

もう一つの趣味の一人旅は今度からは碧斗と
二人で行く事になるけれど、それは一人より
きっと何倍も楽しいに違いない。

碧斗といるといつもの日常がきらきらと
輝いて見えるのだ。

碧斗にとっても穂香がそんな存在であるなら
嬉しいと思う穂香だ。

そして、プライベートジェットは朝の８時に
ロンドンのファーンボロー空港に到着した。

碧斗と共に寝室でたっぷりと眠ったので、
13時間のフライトの後でもすっきりとした気分
で体調も問題ない。

この空港はプライベートジェットの発着が
多いそうだ。

ラッセルグループのプライベートジェットは
この空港から発着する。

空港からは市内まで４０分から１時間位で
行ける。

今日は空港からそのままラッセル卿の入院
している病院に向かった。

穂香は初めて会うイギリス貴族で碧斗の祖父
がどんな方なのかわからなくて緊張していた

「穂香、大丈夫だよ。爺さんは普通の
老人だ。そんなに緊張する必要はないよ」

と言ってくれるが、そんな訳にはいかない。

日本酒や餡子系の和菓子が好きだと聞いて
いたので、日本を発つ前に有名な日本酒と
お饅頭を何箱か買って来たのだ。

もう緊張で吐きそうだ。