孤高の総帥は初めての恋に溺れる

好きな小説を書くことも楽しんでいる今の
自分の生き方が穂香には一番合っている
気がしているのだ。

恋愛には縁が無いようで同期や後輩から
他業種との飲み会つまり合コンに誘われ
るのだが、お酒もそんなに好きではなく
皆でワイワイするのに魅力を感じない。

時々告られたりもするが、恋愛に淡泊な
のか無理に誰かと付き合おうとは思わ
ない。

一人で旅して家で一人で小説を書いて
いるほうが自分らしくて安心していら
れる。

飲むなら親友達と、遊ぶのも親友達との
方が心から楽しめる。

きっと親友達が好きすぎるのだろう、
皆魅力的すぎるのだ。

会社には仲のいい同期もいるが、親友達
といる時の心地よさは格別なのだ。

空港内を颯爽とキャリーケースを引いて
歩くCAはかっこいいけれど、穂香は今の
グランドスタッフの仕事が好きだ。

そしてそんな仕事に誇りを持っている自分
が好きだ。

遅れを出さずに定刻に便を出発させる事
も大事だが、いつもお客様の笑顔を守れる
様に自分達も笑顔でいることが大切だと
先輩から教わった。

こうして一人空の旅をしていればそれは
とてもよくわかる。
知らない人ばかりの所で不安に思う事も
あるが、そんな時スタッフの笑顔にほっと
するのだ。

だから、穂香はいつもゲート内では笑顔を
見せるように心がけている。
心からの笑顔を…