一方その頃…

利一は「待ってくれ」と手を伸ばしたまま、硬直していた。

階段の上で扉が閉じる音が聞こえた。



なんか、ヤバい

一番見られたく無い所を転校早々見られた。

しかも、ダッシュで逃げられた(?)

嫌な汗が伝った気がした



頭上のスピーカーから聞こえるチャイムが
遠く聞こえる。



「谷柳か?そんなとこで何してんだ?とっくにチャイム鳴ったぞ。」

「うわぁ!!?」

不意に掛けられた目黒の声に驚き飛び退いた。

「わ…悪い…別に驚かすつもりは無かったが…」

「いえ、えっと…先生は…?」

「隣のクラスの目黒だ。チャイムなったぞ。早よ教室戻れ。」

「…はい、」

相変わらずのlowテンション

「ま、転校したばっかりで、なんか困った事でもってあったら何時でも言ってこい。」

何かを察したのか、目黒はポンと利一の肩を叩いた。

「違うクラスの担任だけどな。」

ニッと笑う目黒に「はい」と覇気無く応えて、利一はすごすごと教室に向かって歩き始めた。


「…アイツ、大丈夫…なのか?」