イケメンから抜け出したい

もともとは自転車で通うつもりだったけど、家のすぐそこに駅があったのと、長浜公園の裏にも駅があったから、電車通学となった。




電車通学、結構憧れてたんだよね。





電車に揺られながら、私たちはいつも通り、他愛ない会話を続けた。




「あれ、あめちゃん?」




思わず私は振り返った。




けど、誰かが発したのは、『あやめちゃん』じゃなくて、『あめちゃん』。




間違えて反応するとか、最高に恥ずかしい。





そう思って、振り向いてしまった顔をぎゅいんと戻す。




だけど、どこかで聞いたことがある声───






「やっぱりだ、あめちゃんじゃん」




「ひっ」




急に肩になにか触れる感じがして驚いた。







振り向くと、次期、生徒会長の人。




和泉学園の。




いや、もう次期じゃないな、進級したから。