とまあ、なんやかんやで9月15日。……交流会の日がやってきた。
 私たちは今、葉月男子高等学校にやって来ている。
 あれから、私の人生がガラリと変わる……訳ではなく、何ならいつも通りの日々が続いていた。
 あの時も、大和君とは全く話しておらず、話していたのは両親だけだ。
 まあそれは別として、この交流会は、私たちの通う【向坂女子高等学校】と、大和君たちの通う【葉月男子高等学校】の2校で行われるものだ。
 いや、何で女子高と男子校?……となるところだが、まあ仕方ない。
 最初は両親が仕込んだのかと思ったけど……。
「やあ、王子。また考え事かい?」
「あ、朝陽」
 今日もいきなり、朝陽に話しかけられた。
 【王子】ネタ、結構気に入ってるな……。自分も【姫】のくせに。
「ちょと、交流会のことを……ね?」
 そう、訴えるように朝陽を見やる。
「ああ、なるほど、なるほどねえ」
 何か察したようにうなずく朝陽。
 朝陽は、大和君が葉月高に通っていることを知っている……正直厄介でしかないけど。
「まあまあ、頑張りたまえ。ほら、そろそろお待ちかねの交流会が始まるではないか」
「ああ、本当だ」
 朝陽の言葉を聞いて、時計を確認する。
 うちの交流会は、難しいプレゼンしたり、各校の活動を発表したりなど……をするのではなく、ただただ遊ぶというものだ。
 本当、うちの教師は頭に花が飛んでるのだろうか。
 まあ、楽だから、こっちはいいんだけど。
 息苦しい女子高で、少しでも生き抜き出来たら、という気遣いなのかもしれない。
 その後、一度体育館に集められた後、「はい自由時間」という感じだった。
 1年生の私たちは、もうさっぱり。何をしたらいいのか分からなかった。
 とりあえず、大和君のところに行くか?いや、話したこともないのに、それはハードル高すぎだろ。でも、行かないと不自然でしかないしな……。
 なーんて、一人で悶々と考えていると……
「あの、如月先輩!」
と、一年生の女子に声をかけられた。
「きゅ、急にすみません!あの、もし、交流会一人で過ごされるのでしたら、わ、私たちも、ご一緒させていただいても、よろしいで 
 しょうか……?」
 よく見ると、1人ではないらしい。3人ぐらいで声をかけてきたようだ。