「お父さん……。氷翠さん、俺がもらっちゃってもいいですか?」
 まっすぐ、真剣な目で、お父さんを見て、言った。
 な、何そのセリフ……かっこよすぎる……。
 しばらく黙っていたお父さんだけど、静かに顔を上げ、微笑んだ。
「私からも、よろしくお願いいたします。【神の血を継ぐ者】……津城和泉様。どうか娘を、幸せにしてください」
 え……。
 お父さんが頭を下げているところを、初めて見た。
 その声は少し震えていた。涙をこらえているのだろう。
「……はい。ありがとうございます」
 力強い、和泉さんの声が、ただただ愛おしかった。
 この人なら、私を幸せにしてくれるだろう。
 この人と、私は夫婦に……。
 ん、夫婦……?
 忘れていたことを思い出し、またまた、顔が熱くなる。
 この展開、何回目……。
 何回でもいいかもしれない。
 そこに和泉さんがいたら……。
「それでは、改めて儀式の続きを行いたいと思います」
 お父さん、お母さん、ありがとう。
 そういう思いで、私は立ち上がった。
 私と和泉さんの血が混じり合い、美しい翠色になった。
 翠色の血って、ゲームの敵キャラみたいだな。
 そんなことを思いながら、目の前でさっきと同じ翠色になっていく指輪を見つめた。
 綺麗だ……。
「綺麗だ……。」
 私の心の声と、和泉さんの声が重なった。
 同じこと、思ってくれていたんだ……。
「氷翠ちゃんに、ぴったりな色だね」
 その笑顔の破壊力と言ったら、もう計り知れない。
 
 ありがとう、お母さん、お父さん。
 大和君、そのお母さん、お父さん、ありがとう。
 みんな、みんな、ありがとう。
 みんなのおかげで、私は好きな人と一緒にいられます。