ああ、そういえばそうだったな。
手を頭の後ろで組んで、そう話す和泉さんを見ながら、思い出す。
「そうなんですね、なるほど……」
顎に手を当ててうなずく私を、和泉さんは横目で、怪訝そうに見つめてきた。
「『何で?』とか、聞かないの?」
「え?」
予想もしない言葉に、ボケーッと立ち止まる。
「だって、気にならない?集まり事嫌いなやつなんて、どこにでもいるけど。サボるまでしてるやつはいないでしょ?」
「そうですかねぇ?」
和泉さんの言葉を、改めて考える。
そうか、そういう風に思うのか。
でも……。
「別に、聞かなくていいかなって」
私の言葉を聞いて、和泉さんは大きな目を見開いて私を見た。
「あ、本人が話したいなら、別ですけど。わざわざ自分から、聞く必要もないかなって。すみません、大したことない理由で」
和泉さんは数秒フリーズしてから、そっか、と笑った。
「氷翠ちゃんは、そんな風に考えるんだね」
「そうですね……」
気のせいかな。
和泉さんの表情がさっきより明るい気がして、嬉しかった。
とりあえず、座れそうな教室を見つけて、そこに和泉さんと一緒に入る。
向かい合って椅子に座ったとき、和泉さんが話し出した。
「小6の時さ、大和が集会で、委員会の発表してるとき、ちょっと噛んじゃって」
突然始まった、和泉さんの話に耳を傾ける。
和泉さんが自分の話をすることなんて、なかなかないから。
「集会の後なんだけど、大和のクラスの男子が、そのことを馬鹿にしたんだよ。もう、悪口っていうか、陰口っていうか」
ああ、そんなことが。
部外者の私には、その位の反応しかできなかった。
「で、そいつが大和の委員会のやつだったんだよ。自分はしたくないからって、発表を大和に押し付けたくせに、馬鹿にしたんだ」
大和君のことを語る、その瞳が優しく、少し悲しそうで、何とも言えない気持ちになった。
「馬鹿はどっちだよって感じだよな。集まり事って、人がいるから、どうしても馬鹿なことできないんだよ。だから裏でそうやってさ。
まあ、堅苦しいこと嫌いってのが大きな理由だけど」
あっけらかんと話す和泉さん。
「人の前で頑張る勇気がないなら、正々堂々逃げろよ、こんな風に、って意味も込めて、こんなバカなことしてる。こんなことしても、誰も救われないのに……。結局、逃げたいのは俺なのかもね」
手を頭の後ろで組んで、そう話す和泉さんを見ながら、思い出す。
「そうなんですね、なるほど……」
顎に手を当ててうなずく私を、和泉さんは横目で、怪訝そうに見つめてきた。
「『何で?』とか、聞かないの?」
「え?」
予想もしない言葉に、ボケーッと立ち止まる。
「だって、気にならない?集まり事嫌いなやつなんて、どこにでもいるけど。サボるまでしてるやつはいないでしょ?」
「そうですかねぇ?」
和泉さんの言葉を、改めて考える。
そうか、そういう風に思うのか。
でも……。
「別に、聞かなくていいかなって」
私の言葉を聞いて、和泉さんは大きな目を見開いて私を見た。
「あ、本人が話したいなら、別ですけど。わざわざ自分から、聞く必要もないかなって。すみません、大したことない理由で」
和泉さんは数秒フリーズしてから、そっか、と笑った。
「氷翠ちゃんは、そんな風に考えるんだね」
「そうですね……」
気のせいかな。
和泉さんの表情がさっきより明るい気がして、嬉しかった。
とりあえず、座れそうな教室を見つけて、そこに和泉さんと一緒に入る。
向かい合って椅子に座ったとき、和泉さんが話し出した。
「小6の時さ、大和が集会で、委員会の発表してるとき、ちょっと噛んじゃって」
突然始まった、和泉さんの話に耳を傾ける。
和泉さんが自分の話をすることなんて、なかなかないから。
「集会の後なんだけど、大和のクラスの男子が、そのことを馬鹿にしたんだよ。もう、悪口っていうか、陰口っていうか」
ああ、そんなことが。
部外者の私には、その位の反応しかできなかった。
「で、そいつが大和の委員会のやつだったんだよ。自分はしたくないからって、発表を大和に押し付けたくせに、馬鹿にしたんだ」
大和君のことを語る、その瞳が優しく、少し悲しそうで、何とも言えない気持ちになった。
「馬鹿はどっちだよって感じだよな。集まり事って、人がいるから、どうしても馬鹿なことできないんだよ。だから裏でそうやってさ。
まあ、堅苦しいこと嫌いってのが大きな理由だけど」
あっけらかんと話す和泉さん。
「人の前で頑張る勇気がないなら、正々堂々逃げろよ、こんな風に、って意味も込めて、こんなバカなことしてる。こんなことしても、誰も救われないのに……。結局、逃げたいのは俺なのかもね」


