「んーん、なーんにも」
和泉さんはそう言って笑った。
何か、ごまかされた気がする……。
「てか、早く行こうよ」
「え、どこにですか?」
「文化祭」
「え、それ、私行くって言いましたっけ?」
「いーからー」
『何か隠してます?』なんて、その背中に問いかけることはできなかった。
「んー、うまっ」
隣で、楽しそーにソフトクリームを食べている和泉さんの横顔を見つめる。
「見て!王子が誰かといる!」
「え、この前と違う人?」
「婚約者いるんじゃなかったの?」
「でも、この人もイケメーン」
「この前の人よりこっちの方がタイプかも」
「でもさ、何か、前の人と似てない?」
「絵になるわぁ」
……いつもに増して、全身に突き刺さる視線から目をそらすために……。
そんな中、まあ呑気にソフトクリームに夢中になっている和泉さんに、だんだん腹が立ってくる。
こっちの気も知らずに……。
「こっちの気も知らずに……」
「え?」
声に出ていたのか、突き刺さる視線に和泉さんの視線も加わった。
「ごめん、何か言った?」
結局、純粋な瞳にやられて、「いいえ……」としか返せなかった。
でも、さすがの先輩も気づいたようで、「もうちょっと、静かなところ行こうか」と誘導してくれた。
旧校舎までの道は、ひたすら静かで、視線から解放され肩の力が抜けた。
そういえば……。
「何で、和泉さんは旧校舎にいたんですか?」
「んー、俺?」
実は、ずっと気になっていたことを改めて口にした。
「交流会の時もだけど、俺、集まり事とかそういうの、好きじゃないから」
和泉さんはそう言って笑った。
何か、ごまかされた気がする……。
「てか、早く行こうよ」
「え、どこにですか?」
「文化祭」
「え、それ、私行くって言いましたっけ?」
「いーからー」
『何か隠してます?』なんて、その背中に問いかけることはできなかった。
「んー、うまっ」
隣で、楽しそーにソフトクリームを食べている和泉さんの横顔を見つめる。
「見て!王子が誰かといる!」
「え、この前と違う人?」
「婚約者いるんじゃなかったの?」
「でも、この人もイケメーン」
「この前の人よりこっちの方がタイプかも」
「でもさ、何か、前の人と似てない?」
「絵になるわぁ」
……いつもに増して、全身に突き刺さる視線から目をそらすために……。
そんな中、まあ呑気にソフトクリームに夢中になっている和泉さんに、だんだん腹が立ってくる。
こっちの気も知らずに……。
「こっちの気も知らずに……」
「え?」
声に出ていたのか、突き刺さる視線に和泉さんの視線も加わった。
「ごめん、何か言った?」
結局、純粋な瞳にやられて、「いいえ……」としか返せなかった。
でも、さすがの先輩も気づいたようで、「もうちょっと、静かなところ行こうか」と誘導してくれた。
旧校舎までの道は、ひたすら静かで、視線から解放され肩の力が抜けた。
そういえば……。
「何で、和泉さんは旧校舎にいたんですか?」
「んー、俺?」
実は、ずっと気になっていたことを改めて口にした。
「交流会の時もだけど、俺、集まり事とかそういうの、好きじゃないから」


