反応は目に見えてるな……仕方ない。
「どうかな?」
 執事服を着て教室に戻ると、ほとんどの子が目をハートにして私を見ていた。
「見て、朝陽姫との組み合わせが最高すぎる……」
「王子は執事にもなれるのな……」
「目の保養……」
 ……予想はしていたけど、やはりオーバーな気が……。
「いや~さすが王子。何でも似合っちゃうわけだ」
 いつの間にいたのか、朝陽がそう言って、私の肩を叩いてきた。
 ……よく言うよ。自分もメイド服着といて。
「へえ、どうも……。姫もよくお似合いですよ?」
「きゃー!そりゃ、ときめいちゃうねえ」
 絶対思ってないだろ……。
 ケラケラ笑っている朝陽を軽く小突く。
「ごめん、もう着替えていい?」
 もう限界……。
「ん、いーよー」
 衣装係の子に許可を取り、急いで着替える。
 あれを当日もしないといけないなんて、地獄……。
「えー、かっこよかったのにー。王子♥」
 まだ、いたのか……。
 いい加減怒るよ?
 という思いを込めて、朝陽を睨みつけると、さっき同様へらりと笑って返された。
 でも、何でだろうね。
 不思議と、文化祭を楽しみにしている自分がいた。
 まさか、あんなことになるとは知らずに……。