スケートしてる、君がすき。

 ⋯⋯千原先生。
 さっき滑ってたの、見てたの?
 それとも、助けようと⋯⋯?


 「わたしが陽葵ちゃんのコーチになります。リンクの入場代はタダでいいです。怒鳴ってくれていいです。
 でも⋯⋯陽葵ちゃんとスケート、やらしてほしいんです。
 わたしのわがまま、なんですけどね」

 え?

 「さっき見てて思ったんです。この子とオリンピック行きたいなって」


 オリンピック⋯⋯?


 「いや、千原先生? あのですねえ、陽葵にはスケート、やらせません」
 「っ、お母さん、わたしやりたい」
 「いやだって、無理でしょ? あなたはそんながんばれないわ、きっと」


 ⋯⋯。


 『あのねえ、あなたはあの子みたいにならないでほしいの。お願い。スケート、やめてちょうだい。
 それに⋯⋯あなたはもうがんばれないわ』


 「お母様、陽葵ちゃんの『やりたい』気持ちを、尊重してあげたらどうでしょうか」
 「⋯⋯やりたい? それだけでできると??
 千原先生、あなたも大人ならわかりますよね?」


 ⋯⋯。
 やりたいからやれる、わけじゃない。
 そんなの知ってる。

 今まで、諦めてきた。