スケートしてる、君がすき。

 テレビの向こうから聞こえてくる声が思いのほか大きくてそちらを向く。

 っ、きれい⋯⋯。
 惹き付けられて、目が離せない。


 そしてその美しい演技と音楽に魅入っていると、ノイズが入る。


 『⋯⋯構成通りだと、ここのジャンプは彼、京朔也(かなどめさくや)の代名詞、3回転ルッツですね〜』


 ⋯⋯かなどめさくや、ね。
 かっこいい響きの名前。
 あとで検索しよう。


 『ええ。最近絶好調ですからね。4回転が跳べそうなくらい』

 『そうですね───っえ?!?!』


 彼は⋯⋯勢いよく踏み切って、風を切り裂き、そして⋯⋯4回転には1歩届かず転倒した。

 ⋯⋯なんて、わたしは分からなかったけど。

 あ、転んだ、としか思えなかったのだし。



 しかし、その瞬間、日本に、世界に⋯⋯衝撃が走った。





 【日本の未来のエース、京朔也 全日本ノービス二連勝 全日本ジュニアへ】


 ⋯⋯いつもならこちらだろうこの見出しではなく、


 【日本の未来のエース、京朔也 全日本ノービスで4回転ルッツに挑戦 あと一歩か】



 この見出しになるくらいには。