最高の娘

私たちは、家を手に入れました。

といっても、本物の家ではありません。
庭の片隅にある、古びたテントです。
でも、布の内側にランタンを灯して、クッションを敷けば、そこはもう立派な“家庭”でした。

「ここが私たちの家よ。」
「……やだ。帰る。」
「あなたの家はここよ。私はあなたのママなの。」

あの子は、まだ私を認めてくれません。
何とかして娘の悪い考えを正してあげないと...

その夜、私は決心しました。
あの子と“本当の家族”になることを。

私は、ナイフを持ってテントに入りました。

ナイフは綺麗に磨かれていました。
さっき、自分の腕に少しだけ傷をつけて、血を流してみたのです。
母は、こうして私とつながってくれたんだと思いました。

「あなたの血と、私の血が混ざれば、私たちは本当の親子になれる。」

あの子は、私の言葉に凍りついていました。
目を見開き、震えながら、何も言いませんでした。

私はナイフをそっとあの子の腕に当てました。
痛くしないように、優しく、ほんの少しだけ──。

その瞬間、あの子が呟きました。

「……ママ、許して……」

観念したような、諦めたようなそんな喉から絞り出したような声
その言葉を聞いた時、私は手を止めました。

許す? なぜ謝るの?
私はあなたを傷つけようとしていた?
私は……愛していたのに。

その時、私は初めて理解しました。

母が私にしてくれた“無償の愛”を。
母は、私が拒んでも、決して強制しなかった。
私が泣いても、逃げても、見守ってくれていた。

でも私は──

「私は、最低の母だったね……」

その言葉を残して、私はナイフを自分の首元に当てました。
流れる涙は止まりませんでした。
それでも、最後に伝えたかった。

「愛してるよ。」


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