ー第9話ー

「おはよう、澪。」

「…おはよう、颯真。」

「なんかテンション低くない?なんで?」

「……あんたが怪我してるからよ…。」

「やだー!可愛すぎるでしょこの子!」
ひよりが大声で笑いながら続ける。
「あんたが来るのずっと待ってたんだよ?外見てソワソワしてさ。心配してたんだって!」

「ひより!!言わないでってば!」

「ふふっ、ありがとな、澪。」
颯真が不意に澪の頭をポンポン撫でる。

「……っ。」
澪の顔が一気に赤くなる。

「おーい!颯真ー!夏休み遊びに行こうぜー!」
陽翔が元気な声で言う。
「あ、良かったら一ノ瀬さんたちも一緒にどう?遊び行こうよ!」

「えっ!いいのー!?澪、行こ行こ!」
ひよりが食い気味に返事する。

「…まぁ、いいけど。」

「じゃあグループLINE作るね。」
朝比奈が淡々と言い、スマホを取り出す。

「俺、一ノ瀬さんと遊ぶの楽しみだなー。」
陽翔がニコッと笑う。

「…いや、澪は俺のだから。」
颯真が即座に割り込む。

「私は誰のものでもないからね?」
澪は少しムッとして返す。

「はいはい、みんなそこまでー!」
ひよりが強引に場を仕切る。
「それより朝比奈さん、好きなタイプとかいるの?」

「ひより、だる絡みも程々にねー。」
澪が呆れる。

「…あ、ねぇ一ノ瀬さん、俺も澪って呼んでいい?」

「え?別にいいけど……じゃあ私も陽翔って呼んでいい?」

「おお!嬉しい!もちろん!」

「お前ら楽しそうだな……。」
颯真が低い声でつぶやく。

「嫉妬かー?けど澪は俺たちの友達だぞ?一緒に遊ぶし、仲良くしないと!」
陽翔がニヤリと笑う。

「そういえば篠原は?」
澪が聞く。

「アイツは筋トレするからパスだって。」
朝比奈が淡々と答える。

「…筋肉脳だわ。」
澪が呆れる。

「ま、いいや!とりあえず夜連絡するから、グルラ見とけよ!」
陽翔がウィンクしながら言った。