はじめまして、好きです。

ー第2話ー

「颯真、とりあえず席に座れー。席は……澪の隣でいいか」

担任の先生が、ちょっとニヤついた顔で言う。

「わっうれしー澪の隣じゃんマジで先生尊敬してますー」

そう叫ぶ颯真は、嬉しそうすぎてほんとにバカみたいだった。

(……馬鹿だろ、こいつ)

私は内心でそう思いながら、そっとため息をついた。

「澪、俺たち隣同士だってよろしくな。」

そう言って、颯真は手を差し出してくる。

完全に無視した。
というより、あえて見てないフリをした。

「澪〜、怒んなって〜。だってさ、俺たち未来の夫婦なんだし?」

……は?

「ふざけんなっ!誰がお前と夫婦になるか!」

そう怒鳴る私に、なぜか教室中がわっと沸いた。

「澪照れてるじゃーん!可愛いとこもあるな〜!」

からかってきたのは、友達の桜庭ひより。

「ひより、からかわないで。……私の過去、知ってるでしょ?」

ちょっとキレ気味に言うと、ひよりは小さく口をすぼめた。

「え、過去? 澪の過去ってなに?」

颯真が身を乗り出して、ひよりに聞く。

「え、あっ……颯真くんは知らないよね〜。澪はねー、元カレに──」

「ドンッ!!」

「やめてっ!!」

私は勢いよく立ち上がって、机を叩いた。

教室が、一瞬で静まり返る。

「……なんで私の過去を言おうとするの?」

「やめてって言ってるよね? 私がそれ言われるの嫌だって、ひよりは知ってるよね?」

怒りで声が震えた。
でも、止められなかった。

「……ご、ごめん、澪。もう言わないから! ね?今日の学食、奢るからさ!」

ひよりは焦って謝ってきた。

「はぁ……わかった。じゃあ、しっかり奢ってよね」

そう言ってから、私は横目で颯真を見た。

「お前は……今の話、聞かなかったことにして」

「うん、わかった。嫌なことなら、無理に聞かない。大丈夫」

そう返してきた彼の声は、意外にも真剣だった。
……でも、すぐに、あの軽い笑顔に戻って──

「でも俺、やっぱりお前のこと好きだから。」

「……わかったから。けど私は、あんたを好きになることは絶対にない。早く諦めて」

言い切ったその瞬間、颯真は少しだけ笑って、私をまっすぐに見つめた。

その目が、ちょっとだけ——本気に見えた気がして。
私は、また目をそらした。

(ほんと、めんどくさい)
(でも、なんでだろう。少しだけ、胸がざわついて、うるさい、)

ーー続く